Zephyr Cradle Diary


2020.11.04 (Wed)

[雑記] M3オンラインを終えてみての感想

先日うちの日記でも紹介したように、M3がリアル会場+オンライン会場で開催されました。コロナ以降、オンラインイベントがいくつも立ち上がるようになってきましたが、自身でサークル参加・一般参加したのは初だったので、ちょっと感想でも書いてみようかなと。

オンライン開催とリアル開催は色々とトレードオフな部分もあるし、加えて現在は模索段階でもあると思うので、今後まだまだ変わっていくだろうなと感じる部分でもあります。それを踏まえた上で、そしていち個人の感想です。

■良かった

私事ではありますが自分は親(そこそこ高齢)と暮らしているので、やはりコロナ感染には警戒をしたい。それをキープしながら参加出来たのは良かったです。感染症対策というのはこの先コロナに限った話ではないので、今後も似たような開催スタイルはたびたび登場するのかな? とも。

それとオンラインサイトにチャット(1行掲示板!)や、リアル会場での実況を置いたのは面白い施策でしたね。実況と言っても万人を映していたわけではなく、実況スペースに足を運んだ人のみを映すとしていたので、色々と配慮がされていたと感じます(もちろん良し悪しはありますが)。サークルごとにチャットがあったのも良かったですね。

■もう一歩

この下の2つのツイートが表していた通りなんですが、それだけだと面白くないので、もう少し掘り下げます。

実際にM3オンラインでちょっとなーと思ったのは以下の点です。一般的なオンラインイベントに共通して言える部分やM3オンライン特有の部分もあるとは思いますが。

サークルカットが白黒:紙媒体向けに募集したのをそのまま流用してるからでしょうけど、めちゃくちゃ淡泊になってしまっていました。オンライン用にはカラーを用意できるとか出来たら良かったのかなあとか思ったりはしました。

オンラインサイトのUI/UXにお祭り感が足りない:トップページのチャットやサークル別チャットを用意した施策はめちゃくちゃ良かったと思いますが、全体のUI/UXがやはり淡泊だよなあと。なんかこう、盛り上がってる感は感じられなかったですね。

サークルのザッピングがしづらい:リアルの会場で島単位とかジャンル単位とかでサークルのザッピングをするときって、こう、ポスターとか机の上とかを遠目に眺めながら歩いたりするじゃないですか。自分はそう。一目で数サークル分がざっと見れて、「おっあそこ良さそう」とかって突撃する感じ。あれが出来ない。サークル一覧がテキストベースで表示されて、紹介文がだばだばっとブラウザに表示されて、一個一個のサークルをクリックしないと作品が見れない……っていうのはやっぱりザッピングに向いていないんですよね。結果どうなるかっていうと、お目当てのサークルしか見に行かないっていう行動になってしまう。お隣サークルへのリンクがあるにはありましたが、まあ使わないよね……っていう感じになりました。

サークルの盛り上がり状況・人気度合いが可視化されない:上のとちょっと被るのですが。リアルイベントでは列が出来てるサークルっていうのはやはり何かあるんだなと思わせられます。列が出来る理由は、(大抵のイベントでは時限販売が禁止なので、)人気のサークルか列を捌くのが遅いかのどっちかですが、そういうのが可視化されない。壁サークルだと大手なんだなっていうのも見えない。ああいうのってやっぱりザッピング時の参考になるので、それがないってのは情報量が減るなあと。

ザッピングしづらさから来る懸念:これはあくまでも懸念の域を出ないのですが。リアルでは、大手サークルの購買層が購入後に周辺のサークルへ流れて作品を手に取るということがままあると思いますが、オンラインになったときにジャンル単位でのザッピングがしづらいとなると、そういう人の流れがほとんどない気がします。結果として、大手サークルと中小サークルの格差(と言う言葉が正しいかは分からないが)がより開いていくんだろうなという懸念を感じました。

自サークルの事前準備が分かりづらい:サークル参加側での視点。リアルでは共通して、ブースという狭い空間にどう展示するかという観点だけでほとんどのイベントに応用が利いたので良かったんですが、オンラインだとWebベースになるのでだいぶ勝手が変わりますね。そのイベントに即した入力内容やデザイン(POP)を準備して、事前に委託サイトの倉庫へ送って、など。しかも用意した結果がどう表示されるのか、プレビュー機能がないときっついですね。M3オンラインはプレビューあったのでまだ良かったのだけども、メロンにはなかったので当日になってミスが分かったりした。こっちはちゃんと入力してたはずなんだけどなあ……。ともあれ、イベント側が用意した入力項目というフォーマルな形に則らなければならない分、イベントやサイトごとに色々用意しなくちゃいけなくて、手間暇がリアル参加よりも多いなーと思ったりしました。これまで培ってきた現地でのアドリブが使えない……。

サークルページのURLが公開当日まで分からない:Webで開催する以上、サークルページや購入ページへの導線をいかにアピール出来るかが大事なんですが、公開URLが分からないので、事前の宣伝ツイートがとてもしづらい。直リンクを貼りたいもののそのURLが分からないので、結果として事前の宣伝はトップページへのURLだけになってしまう。リアルイベントと同じくエントランスへの案内をすればいいだろってのはまあそうなんですが、折角個別URLが割り当てられるなら、それを事前に宣伝したいなあと思ってしまうんですよね。

イベント後にサークルページが早々に閉じられてしまう:そりゃお祭りなんだからそうでしょってのは、まあそうなんですけどね。でも折角のWeb開催なのだから、ログとして残しておいても良いのでは……と。純粋に、勿体ないなあと感じました。ただそうしようとすると、サークルからの預かり物(画像やテキスト)を長期保存するには版権的なことも気にしなくてはならなくなるので、簡単な話ではないというのは理解します。そこまでやると多分めちゃくちゃ大変。

ざっとこんなところです。

まあ、いろいろと偉そうに書いたものの、じゃあ自分が具体的な解決策を持っているかというとそういうわけでもなく……。

UI/UXでの解決や、システム(タグやレコメンド、ハッシュタグのリアルタイム流しなど)を使った解決が出来る部分はあるのかなと思いはしますが、そうは言っても単純な話でもないですしね。それに、1日限りのイベントにそこまで労力を突っ込めるか? って話もあるしで。あまりに気合入れすぎるとPixivみたいなサイトになってしまうしかない気もしてしまうしで(PixivのUIが使いやすいかはさておき、システム自体は割と参考になるのではと思っているので)。

というわけで単なる感想なので特にオチはないのですが、自分自身がCelestiaというオンラインイベントの主催を持っている以上、こういったことはやはり他人から学ぶものもあるなあと思った次第です。微妙だった部分は改善策を考えてみようとか、よかった部分はパクろう! とか。

いろんなイベントがまだまだ手探り段階でしょうし、感染症にも負けないような手法やプラットフォームが醸成されていくと良いですね。